【9月25日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の自宅が当局に差し押さえられ、銀行口座も凍結されたことが分かった。同氏の広報担当者キラ・ヤルミシュ(Kira Yarmysh)氏が24日、明らかにした。

 ヤルミシュ氏によるとロシア当局は、ナワリヌイ氏が毒殺未遂とみられる被害に遭った数日後の8月27日、モスクワ南東部の集合住宅にある同氏自宅の差し押さえを発表。同時に銀行口座も凍結されたという。

 当局の対応は、2019年10月の裁判所命令に基づいている。汚職撲滅を掲げるナワリヌイ氏は、ケータリング会社モスコフスキー・シュコリニク(Moskovsky Shkolnik)の提供する低水準の学校給食が子どもたちの体調不良の原因になっているとする調査動画をめぐって同社から訴えられ、同志のリュボフ・ソボル(Lyubov Sobol)氏や自身の創設した反汚職財団と共に約8800万ルーブル(約1億2000万円)の賠償命令を受けていた。

 ヤルミシュ氏によれば、差し押さえの執行によりナワリヌイ氏は、一家が暮らす集合住宅の部屋に対する売却・譲渡・担保提供の権利を喪失した。一方、この部屋に住み続けることはできるという。

 政治アナリストのタチアナ・スタノバヤ(Tatiana Stanovaya)氏は今回の当局の動きについて、現在ドイツで療養中のナワリヌイ氏にロシア帰国を断念させる作戦の一環かもしれないと指摘した。

 ロシア政府は、ナワリヌイ氏はいつでも帰国できると表明している。

 ナワリヌイ氏や支援者らは、ロシアでたびたび訴訟や家宅捜索などの標的となり、短期の実刑判決も受けている。だが、ヤルミシュ氏は先にAFPに対し、ナワリヌイ氏はロシアに帰国する意向だと話していた。(c)AFP/Anna MALPAS