【9月21日 AFP】アカデミー賞(Academy Awards)のテレビ版に当たるプライムタイム・エミー賞(Primetime Emmy Awards)の第72回授賞式が20日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで行われ、米国の人種差別を題材にしたダークヒーロー作品「ウォッチメン(Watchmen)」が、リミテッド・シリーズ部門の作品賞を含む11部門を受賞した。新型コロナウイルスの感染が拡大している中で行われた初の主要な授賞式となったエミー賞の式典は無観客で開催され、俳優らもオンラインで参加した。

 米ケーブルテレビ局HBOが制作した、ある一族の陰謀と権力争いを描いた「サクセッション(キング・オブ・メディア、Succession)」は、ドラマ部門の作品賞をはじめ、主演男優賞、監督賞、脚本賞を受賞。カナダのオフビートな人気ドラマ「シッツ・クリーク(Schitt's Creek)」は、コメディー9部門での受賞を果たした。

 リミテッド・シリーズ部門の主要4部門を受賞した「ウォッチメン」は、計11部門のエミー賞を獲得。同作品の制作者らは、1921年に米オクラホマ州タルサ(Tulsa)で起きた同国史上最悪レベルの人種虐殺の犠牲となったアフリカ系米国人に作品賞をささげるスピーチを行った。

「ウォッチメン」は、1980年代のグラフィックノベルを基に、反社会的なスーパーヒーローと政治風刺を現代的にアレンジした作品で、昨年の放送開始以来、白人至上主義者や警察官による残虐的な行為、マスク着用をめぐる論争など、いずれも11月の米大統領選に向けて世論が激しく二分しているテーマを取り上げ、批評家と視聴者から絶賛されている。

 深夜トークショーのホスト、ジミー・キンメル(Jimmy Kimmel)氏が司会を務めた会場では、スターたちの等身大パネルが座席を埋めた。俳優のジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)本人はステージに登場し、米コメディードラマ「フレンズ(Friends)」の共演者らとリモート動画を通じて「再会」を果たした。その他の候補者らはガウンやタキシード、普段着など、さまざまな服装でリモートで参加した。

 主要な受賞者、作品賞は以下の通り。

<ドラマ部門>
作品賞 「サクセッション(キング・オブ・メディア)」
主演男優賞 ジェレミー・ストロング(Jeremy Strong) 「サクセッション(キング・オブ・メディア)」
主演女優賞 ゼンデイヤ(Zendaya) 「ユーフォリア/EUPHORIA(Euphoria)」
助演男優賞 ビリー・クラダップ(Billy Crudup) 「ザ・モーニングショー(The Morning Show)」
助演女優賞 ジュリア・ガーナー(Julia Garner) 「オザークへようこそ(Ozark)」

<コメディー部門>
作品賞 「シッツ・クリーク」
主演男優賞 ユージン・レヴィ(Eugene Levy) 「シッツ・クリーク」
主演女優賞 キャサリン・オハラ(Catherine O'Hara) 「シッツ・クリーク」
助演男優賞 ダニエル・レヴィ(Daniel Levy) 「シッツ・クリーク」
助演女優賞 アニー・マーフィ(Annie Murphy) 「シッツ・クリーク」

<リミテッド・シリーズ部門>
作品賞 「ウォッチメン」
主演男優賞 マーク・ラファロ(Mark Ruffalo) 「ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー(I Know This Much Is True)」
主演女優賞 レジーナ・キング(Regina King) 「ウォッチメン」
助演男優賞 ヤーヤ・アブドゥルマティーン2世(Yahya Abdul-Mateen II) 「ウォッチメン」
助演女優賞 ウゾ・アドゥーバ(Uzo Aduba) 「Mrs.America(原題)」

<テレビ映画部門>
作品賞 「バッド・エデュケーション(Bad Education)」

(c)AFP