【9月21日 AFP】米国の裁判所は20日、中国発の通信アプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」のダウンロードを禁じる米大統領令が施行される数時間前に、同命令を差し止める決定を下した。米中政府間ではテクノロジーとスパイ行為をめぐる争いが続いている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は、ウィーチャットと同様、中国企業傘下の人気動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」のダウンロードを禁じる大統領令を出していた。

 20日、米カリフォルニア州の連邦地裁は、大統領令の「施行に対する全国的な差し止めの申し立て」を認めると決定。判事は言論の自由への懸念を理由に挙げた。ウィーチャットは中国のIT大手、騰訊控股(テンセント、Tencent)の傘下で、米国内のデーリーアクティブユーザー(DAU)は約1900万人に上る。専門家によると、同アプリへの禁止措置が施行されていた場合、アプリの動作が遅くなり、家族や友人との米国でのテレビ通話にアプリが使えなくなっていた可能性があるという。

 中国のバイトダンス(ByteDance、字節跳動)保有のティックトックは米国での禁止を回避するため、シリコンバレーのソフトウエア大手オラクル(Oracle)と米小売り大手ウォルマート(Walmart)との提携で合意。トランプ氏は19日、これを承認したと発表していた。発表された提携内容によると、3社は米国に新会社「ティックトックグローバル(TikTok Global)」を設立し、オラクルが技術面で、ウォルマートが商業面で提携する。各社はトランプ政権が指定した禁止措置の施行期限である20日に間に合わせるため、急いで合意に達した。

 一方、米商務省は19日、「最近の前向きな進展」を理由に、ティックトックのダウンロードの禁止を今月27日まで延期すると発表していた。(c)AFP