【9月20日 AFP】米国は19日、イランに対する国連(UN)の制裁が復活したと一方的に宣言し、違反した国には「責任を課す」と示唆した。米政府の孤立を一層深め、国際社会の緊張を高める恐れがある。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は声明で、「本日、イラン・イスラム共和国に対する国連制裁のすべてが、事実上復活したことを歓迎する」と発表。米首都ワシントン時間19日午後8時(日本時間20日午前9時)に制裁措置の「効力が復活した」としている。

 またドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は、制裁を順守しない国連加盟国に「責任を課す」と明言。ただ、制裁復活を主張する国は米国だけとみられている。

 それでも米政府は、制裁措置を無視していると見なした国々に対しては米国の金融システムや市場へのアクセスを拒否するとしており、ポンペオ氏は「国連加盟国が制裁の実施義務を怠った場合、米国は国内の関係当局を通じてそうした不履行に対する責任を課し、国連から禁止されている活動によってイランが利益を得ていないかを確かめる用意がある」と強調している。

 また、「違反者」に対する措置は近日中に発表される予定だとしており、11月3日の米大統領選まで残り45日となる中、トランプ氏が29日の国連総会(UN General Assembly)の演説の中で公表する可能性もある。

 一方、イラン外務省報道官は20日、米国の動きを「見境のない行動」と批判し、米国以外の世界の国々に団結を呼び掛けた。

 英国・フランス・ドイツは共同声明を発表し、ポンペオ氏の声明は「意図された呼び掛け」で、「法的効力は一切持ち得ない」と指摘。また、ロシア外務省も、米政府の声明は法的権限に欠けるとする声明を発表した。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI with Philippe RATER at the United Nations