【9月19日 AFP】車いすテニスの王者、国枝慎吾(Shingo Kunieda)は18日、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)が無事開催できたことは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中でも来年の東京五輪・パラリンピックが安全に行える可能性を証明しているとの考えを示した。

 ニューヨークで行われた四大大会(グランドスラム)の全米オープンでは、フランスのブノワ・ペール(Benoit Paire)が大会のバブル(隔離環境)内に入ってから陽性となったが、クラスター(感染者集団)は発生せず、大会は無観客でスムーズに進行した。

 グランドスラムのシングルスで通算24勝を誇り、史上最高の車いすテニス選手として広く評価される国枝も、全米オープンが新型ウイルスを抑えることができたのは来年に延期された五輪・パラリンピックに向けた前向きな兆しだとし、オンラインで参加した組織委員会との意見交換会で「全米オープンが(中略)無事クラスターを発生させることなく終了したという点においては、五輪、パラリンピックに一歩近づいたと思う」と語った。

 大会上層部は五輪中止の可能性も公に口にしているが、国枝は自身7度目のシングルス優勝を果たした今回の全米オープンでの経験によって不安は軽減したと明かし、「全米オープンは、対策をしっかりすれば国際大会も無事行えるという良い例になったと思う」「対策をしっかりすれば、選手側は安心して大会に臨めるというのが、大事なところ」と付け加えた。

 また、全米オープンでの頻繁な検査や、ホテルや会場での厳格な隔離措置についても組織委員会に説明し、自身が五輪の成功の「一番のカギ」と語る厳しいウイルス対策の採用を組織委側に求めた。(c)AFP