【9月20日 東方新報】中国商務省アジア局の責任者は先日、モンゴルが新型コロナ肺炎防疫援に寄贈すると中国に約束していた3万頭の羊が今月到着すると明らかにした。中国側は獣医師と専門家を内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)エレンホト市(Erenhot)に派遣し、贈られた羊たちの検疫および食肉加工を行う。

 モンゴルのバトトルガ(Khaltmaa Battulga)大統領は今年2月に中国を訪問した際、新型コロナ肺炎の感染拡大に苦しむ中国へ羊3万頭を寄贈したいと発言していた。

 モンゴルで先月、3万頭の羊を寄贈する手順が決められており、それによると、モンゴルで「羊寄贈」工作チームが立ち上げられ、メンダサイハン・食品・農牧業・軽工業相をトップに、外務省、検疫当局、税関および東ゴビ、中ゴビ、ヘンティー、スフバトール各県の責任者がチームメンバーとして任務に参与する。

 中国に送られる3万頭の羊は、モンゴル政府が東ゴビから中ゴビ、ヘンティーの遊牧民たちから購入、その品質と検疫を政府が保証したのち、9月から1万5000頭ずつ中国に引き渡されることになった。羊たちは、東ゴビのザミンウードに集められ、30日間隔離され、トラックに乗せられて中国内モンゴル自治区のエレンホトに運ばれる。

 羊肉は中国では最も高級な肉類とされ、滋養強壮、免疫力向上などの効果があると信じられている。隣国の友誼の象徴の贈り物として生きた羊が贈られるという時代劇のようなモンゴルのやり方は、中国のネットユーザーたちも感動したようで、3万頭の羊をイメージしたイラストや、コラージュ、舌なめずりするような羊料理の写真や、羊の群れが行進する動画などが中国のSNS「微博(ウェイボー、Weibo)」に投稿されていた。あるユーザーが「この羊肉は、ぜひ新型コロナ肺炎の最前線で戦った医療関係者たちにたべてほしい」とコメントすると、あっという間に2万のイイネがついていた。

 また国営中国中央テレビ(CCTV)は、この3万頭羊の贈答の様子を記録映画にとっており、程昭(Cheng Zhao)監督は「中国が新型コロナ肺炎に苦しんでいるときに援助の手を差し伸べてくれたことに深く感動した。美しいモンゴルの自然と善良なモンゴル人民をカメラを通して紹介したい」と語っていた。

 新型コロナ肺炎の最前線で戦った英雄たちに新鮮な羊肉を食べさせてあげたい、というモンゴル政府の意図に沿うように、エレンホトで加工された羊肉はまず湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に送られ、再分配されるという。(c)東方新報/AFPBB News