【9月18日 People’s Daily】大興安嶺のふもとに位置する中国・内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)アルシャン市(Arxan)。市内の白狼鎮(Bailang)林俗文化村ではシラカバや松の樹皮、コケなどを材料にした美人画や花鳥画、風景画を見ることができる。いずれも生き生きとしており、観光客も足を止める。

 ハサミや彫刻刀を使い、樹皮画を制作するのは、44歳の李艶紅(Li Yanhong)さん。

 李さんは林業労働者の家庭に生まれ、子どものころから樹皮画と縁があった。

 林には木が茂っており、人々はよく樹皮を拾って、タバコ入れや器など生活用品を作った。女性たちは暇なとき、シラカバの樹皮を切り貼りして樹皮画を制作、家の中に飾ったり、友人に贈ったりした。小さいころの李さんも、先輩の影響を受け、美人画とか漫画を題材にした作品を制作した。

 1990年代中期、李さんはウランホト市(Ulanhot)に移住し、職業高級中学(高校)で裁縫を学び、卒業後は地元の服飾工場で働いた。「樹皮画に関心がなくなったわけではないが、あのころは樹皮画を制作しても安定した販路がなく、販売価格も安く、生活できなかった」と李さん。

 2000年以後、国家天然林保護事業が実施され、森林の回復が図られた。これに伴い、観光業が発展。李さんは暇なときに作った樹皮画を売ってもらうことにした。李さんは「売り上げは、最初は1000~2000元(約1万6000~3万2000円)だったが、のちに7000~8000元(約11万2000~12万8000円)と毎年、大幅に増加した」と振り返る。

 2017年末、アルシャン市の林俗文化産業公司の謝彩雲(Xie Caiyun)社長が李さんの作品を見て李さんを訪ねてきた。謝社長は李さんに対し、故郷に戻り、皆を豊かにしてほしいと頼んだ。李さんは白狼鎮に戻り、樹皮画の講師に任命された。だが、取り掛かってみると、仕事は容易ではなかった。養成コースを開いても、参加者は少なかった。制作される作品はレベルが低く、そのうえ値段も高く、全く売れなかった。

 優秀な職人を見つけなければいけない。李さんと謝社長は懸命に探した。その結果、趙桂華(Zhao Guihua)さんを見つけた。趙さんは子どものころから樹皮画が上手だった。

 李さんの指導の下で2年、趙さんはどんどん腕を上げ、林俗文化産業公司の「一級大師」になった。

 李さんは、着手しやすく、大量生産できる樹皮画をデザインした。数日で完成するので、多くの人が参加するようになった。現在、地元では100人もの人が樹皮画制作に携わっている。(c)People's Daily/AFPBB News