【9月14日 AFP】20F1第9戦トスカーナGP(Tuscan Grand Prix 2020)は13日、決勝が行われ、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)がクラッシュ続きの大波乱のレースを制し、首位を独走するドライバーズ選手権のリードを広げた。

 チームメートのバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)を2位に抑えた前年王者のハミルトンはこれがF1通算90勝目で、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏が持つ通算最多勝利記録にあと一つと迫った。

 多重クラッシュが2度、セーフティーカーの導入が3度あり、最後は12台でのフィニッシュとなったレースで、ハミルトンは厳しい状況の中、好判断を披露し勝利を手にした。

 ハミルトンは英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に、「信じられないほどタフな一日だった。再スタートばかりで、そういうときは集中力が必要となる。本当に難しかった」とコメントした。

 今季ここまでの9戦で6勝目を収め、総合順位でも2位ボッタスに55ポイント差の190ポイントとしたハミルトンは、シューマッハ氏に並ぶ通算7度目の世界制覇に向けても順調に進んでいる。

 最初のクラッシュでチームメートのマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)が早々にリタイアしたことを受け、その穴を埋め合わせるべくスリリングなドライビングを見せたレッドブル(Red Bull)のアレクサンダー・アルボン(Alexander Albon)が3位に入り、初の表彰台を獲得した。

 ルノー(Renault)のダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)が4位に入り、以下5位にレーシングポイント(Racing Point)のセルヒオ・ペレス(Sergio Perez)、6位にマクラーレン(McLaren)のランド・ノリス(Lando Norris)、7位にアルファタウリ(AlphaTauri)のダニール・クビアト(Daniil Kvyat)、9位にはアルファロメオ(Alfa Romeo Racing)のキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)が続いた。

 また、シャルル・ルクレール(Charles Leclerc)が8位、来季からはペレスの後任としてアストンマーティン(Aston Martin F1、現レーシングポイント)加入が決定しているセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)も10位に沈み、地元でのグランプリ通算1000レース記念となったフェラーリにとっては悲惨な結果となった。

 この日はセーフティーカーの導入時間が1時間16分にわたり、レース終了までに2時間25分を要した。

 ハミルトンは「きょうは一つの大会に三つのレースがあった」と話した。「このサーキットは驚異的で、この暑さの中バルテリを抑え続けるのは難しかった」

 好スタートを切った後にパワーを失ったフェルスタッペンと、前週の第8戦イタリアGP(Italian Grand Prix 2020)を制したアルファタウリのピエール・ガスリー(Pierre Gasly)がリタイアを強いられた最初のクラッシュによって、各選手はセーフティーカーに先導されて6周し、ベッテルとライコネンは修理を強いられた。

 7周目にはセーフティーカーが解除されたが、さらに複数台のマシンによる壮絶なクラッシュが発生してレースは中断となり、マクラーレンのカルロス・サインツ・ジュニア(Carlos Sainz Jr.)、アルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィ(Antonio Giovinazzi)、ハース(Haas F1 Team)のケビン・マグヌッセン(Kevin Magnussen)、ウィリアムズ(Williams)のニコラス・ラティフィ(Nicholas Latifi)がリタイア。スチュワードによる調査が行われたこのクラッシュでは、驚くことに負傷した選手が一人もいなかった。

 クラッシュの様子を収めた映像からは、ジョビナッツィがマグヌッセンとラティフィに接触し、それがサインツの衝突につながったように見える様子が確認できた。(c)AFP/Tim Collings