【9月6日 AFP】南アフリカで5日、ズールー族(Zulu)のグッドウィル・ズウェリティニ(Goodwill Zwelithini)王に舞いをささげる恒例の儀式「リードダンス」が行われた。例年、儀式には胸をあらわにした数万人の若い処女が集結するが、今年は新型コロナウイルスへの対応で規模縮小を余儀なくされ、わずか30人のみの参加となった。

 毎年9月、女性たちはクワズールー・ナタール(KwaZulu Natal)州ノンゴマ(Nongoma)にあるエニョケニ宮殿(eNyokeni Royal Palace)に招かれ、色鮮やかなビーズで着飾って長いアシの茎を持ちながら王の前でダンスを披露する。そして処女であることを祝福し、王にアシを贈る。

 リードダンスは成人女性になるために行われていた古代の通過儀礼だったが、ズウェリティニ王が1984年に正式に復活させた。また、HIV(エイズウイルス)感染を減らすために若い女性に禁欲を促すことでも知られている。

 今年、参加した30人以外の女性たちはソーシャルメディアでその模様を眺める以外なかった。また、参加者たちはマスクを着用し、王に贈るアシを持つ代わりにGBV(ジェンダーに基づく暴力)の根絶を求めるプラカードを掲げた。

 ズウェリティニ王はGBV被害を受ける女性への支援を表明し、「私は女性たちの味方であるので安心してほしい」と語った。

 南アフリカでは長年、女性に対する暴力の問題に悩まされており、3月にシリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領がロックダウン(都市封鎖)を指示して以降、被害者の数は急増。虐待された女性や子どものためのヘルプラインには同月27日から3週間で、通常の倍に上る12万件以上の問い合わせが殺到した。

 南アフリカではこれまでに63万5078人が新型コロナウイルスに感染し、1万4678人が死亡している。(c)AFP