【9月5日 AFP】東アフリカのルワンダで、1994年の大虐殺をテーマにした映画『ホテル・ルワンダ(Hotel Rwanda)』のモデルとなった元ホテル支配人が今週、テロ行為など複数の容疑で逮捕された。約25年前から国外で亡命生活を送っていた同氏の逮捕と母国送還の謎をめぐって懸念が高まっており、米国のティボール・ナージュ(Tibor Nagy)国務次官補(アフリカ担当)は2日、同氏に対する公正な裁判を要求した。

 元支配人のポール・ルセサバギナ(Paul Rusesabagina)氏は、ルワンダ人約80万人が殺害された大虐殺で市民をホテルにかくまい、1200人以上を救ったことで英雄視されている。

 米俳優ドン・チードル(Don Cheadle)さんがルセサバギナ氏役を演じた2004年の映画『ホテル・ルワンダ』は、アカデミー賞(Academy Awards)候補にも選ばれた。

 ポール・カガメ(Paul Kagame)大統領の長期政権を強く批判し、1996年にルワンダを離れてからはベルギーや米国で暮らしてきたルセサバギナ氏は今週、ルワンダの首都キガリで手錠をかけられた状態で姿を見せた。

 ルワンダ捜査当局は、同氏にはテロ、放火、拉致、殺人の容疑で国際逮捕状が出されていたと説明している。

 亡命中、カガメ政権批判をより鮮明にした同氏に対しては、ルワンダ与党がその活動の動機や性格を非難するようになっていた。同氏が母国に送還された経緯は、依然不可解なままとなっている。

 ナージュ氏は2日、駐米ルワンダ大使と面会。ルセサバギナ氏の逮捕について議論し、「米国はルワンダ政府に対し、法の支配を徹底し、同氏に対して人道的な処遇と公正かつ透明性のある法的手続きを取ることを期待する」と述べた。(c)AFP