【8月29日 AFP】デンマークで気候変動の影響で酸素濃度が低下した海域が、1年間で2倍の面積になっていたことが28日に発表された報告書で明らかになった。海中の酸素濃度が下がると、動植物や魚類の生存に甚大な影響を及ぼす恐れがある。

 デンマークのオーフス大学(Aarhus University)のデンマーク環境・エネルギーセンター(DCE)が発表した報告書によると、デンマークの排他的海域では8月時点で低酸素海域の面積が前年の2倍に当たる約3300平方キロになっていた。このうちの約3分の1の面積は「深刻」な状態だという。

 これらの海域では、今年初めに河川から水が大量に流入したことで有機物や栄養素の量が増え、春の中頃から低層水の温度が上がり、風も弱まっていると報告書は指摘している。

 海中の栄養素が増えると植物プランクトンが急速に増え、その死骸が分解する際に水中の酸素が少なくなる。一方、表層水は水温が高くなると溶け込んでいる酸素が少なくなる上、もともと酸素が少ない低層水との循環も減る。この循環は風が弱くても減少する。

 世界の海で酸素濃度の低下が確認されたのは、1960年代はわずか45か所だったが、現在は約700か所に増えている。(c)AFP