2020.09.22

CARS

【第2位】マツダ・ロードスター 21世紀初頭のベスト・カー決定! もっとも記憶に残ったクルマはどれだ?

核となる構築方法は変えずに、けれど構成要素はすべて見直して登場した4代目ロードスター(ND型)は、初代NA型の精神に立ち返り、ライトウェイト・オープン・スポーツカーに焦点を合わせ込んだ。ベース・モデルでは車両重量が1tを切る見事な成果だ。

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エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! 登場からすでに5年。それでもマツダ・ロードスターは強かった。登場後2年のアルピーヌA110にこそ敵わなかったものの、キラ星のごときスーパースポーツ群を押しのけての2位である。


フェイスブックでこんな記事を紹介する投稿を見つけた。


「マツダ・ロードスターの2020年5月の販売台数が1102台と前年比で31%増加。ロードスターが1000台以上売れたのは19年7月以来で、月1000台以上売れたのは過去3年間で5回しかない」。


5月に増えた!?  マツダに問い合わせると、確かに北米(アメリカ、カナダ)で前年同期比3割増しという。元々北米では毎年3~5月がロードスターが最も売れるシーズンらしいが、今年はだって……。


マツダ北米担当は「MX- 5が閉塞感を打ち破るレクレーショナル・ヴィークルとして受け止められた可能性もある」などと分析している。5月に契約するということは4月あたりに決断するケースが多いはず。4月といえば世界中で新型コロナ感染者数が激増し、この先どうなるかわからず最も不安だった時期だ。


このタイミングのクルマ選び以上に本音のクルマ選びがあるだろうか。例えばオープンカーが似合うかどうか、環境に優しい電動車かどうかなんてことは、言ってみれば人にどう見られるかという邪念だ。明日をも知れない状況では本当に自分が乗りたいクルマを選ぶはずだ。コロナがその真実を浮き彫りにしたのではないだろうか。ちなみに日本では、前年同月の399台に対し113台と激減。どれだけ世間体を気にする国民なんだよ。


さて、21世紀の初頭20 年に出たクルマを対象に専門家が選ぶランキングで2位というのは、自動車メーカーにとって名誉なはず。前後にランクインしたクルマを見ればそれがどれほどの偉業かがわかる。


2015年、初登場でホット1に輝いた日本のスポーツカー。

今さら『ENGINE』読者にこのクルマの魅力を伝える必要はないはずだ。すでに世界中に伝わっていて、まだ伝わっていない人にはもうどうやっても伝わることはないだろう。今回の選者たちの理由も、突き詰めれば「軽量の後輪駆動車がもたらす意のままの操作感」に集約される。付け加えるなら、オープンカーならではの爽快感か。


ハード面の魅力に加え、売ったりやめたりせずラインアップし続けたということも、このクルマが入門スポーツカーの代名詞のような存在にまでなった理由だと思う。「数多くのフォロワーを生んだが、デビューから30年余りを生き延びたのはロードスターだけ。簡潔軽量2シーターの偉大なお手本」(高平高輝さん)という言葉の通り、初代のヒット後、MG-F、バルケッタ、SLK、Z3など、影響を受けたクルマが続々登場したが、その多くが、消えたかコンセプトを変えてしまった。


「変えないために変える……がコンセプトだったという現行型。デザインが……といった各論ではなく、総体としての価値が貴重なクルマ」(島崎七生人さん)。時代とともに要件が変わるなか、長年同じような価格の同じような存在であり続けるには、変わり続ける必要があるのだろう。


私自身の目下の最大の関心は、電動ロードスターがいつどのようなカタチで登場するのかということ。それがNE型かNF型かわからないが、どうか初代NA型と同じ喜びをもたらしてほしい。


■マツダ・ロードスター(RFを含む)
全長×全幅×全高=3915×1735×1235㎜、ホイールベース=2310㎜、車両重量=990㎏~。最高出力=132㎰ /7000rpm、最大トルク=152Nm/4500rpmの1.5L直4エンジンをフロント・ミドシップに搭載し、後輪を駆動する。260万1500円(税込)~。


文=塩見智 写真=望月浩彦


(ENGINE2020年9・10月合併号)

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