【8月26日 CNS】中国商務部は14日、研究を進めている「デジタル人民元」について、深セン市(Shenzhen)、蘇州市(Suzhou)、河北省(Hebei)雄安(Xiongan)新区、成都市(Chengdu)の4都市と2022年北京冬季五輪の会場で先行試行すると発表した。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)の易綱(Yi Gang)総裁は「私たちはデジタル通貨と電子マネーを結合する形で計画を立てている。デジタル通貨が一部の現金に取って代わることが目標だ」と述べている。中央銀行デジタル通貨研究所の穆長春(Mu Changchun)所長は「デジタル通貨の機能と属性は紙幣と全く同じで、形がデジタルになるだけ」と説明する。仮想通貨(暗号資産)のように価格が変動することはない。

 スマートフォンに専用のウォレット(財布)を入れれば、デジタル人民元は日常的に使える。中国では既にキャッシュレス払いが主流となっているが、デジタル貨幣は「支付宝(アリペイ、Alipay)」や「微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)」と違い、銀行口座とひも付ける必要がない。また、最新のオフライン技術により、ネットワーク接続していなくともスマホ同士を近づけるだけで相手のウォレットにデジタル通貨を振り込むことができる。

 易綱総裁は「デジタル経済は世界の経済成長を促進する重要なエンジンとなっている。デジタル通貨の研究開発と応用を進め、決済の利便性、安全性、偽造防止のレベルを高めていく」と話している。

 人民銀行はたびたび「デジタル人民元導入のタイムテーブルはない」と強調し、デジタル通貨の導入は正式決定ではないとしている。理論の信頼性、システムの安定性、リスク制御の検証が必要なためだ。4都市と五輪会場といった地域限定の先行試行の準備が順調に進めば、2022年北京冬季五輪会場で、システムの一端が明らかになりそうだ。(c)CNS-毎日経済新聞/JCM/AFPBB News