【8月25日 AFP】米ウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)で23日、黒人男性が背後から警官2人に撃たれ、重体となった。警官らは、男性の子どもたちの目の前で7回発砲した。この銃撃の様子を映した動画がSNSで拡散し、全米各地で激しい非難の声が上がっている。

 複数の目撃者によれば、撃たれたジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さん(29)は、近くで起きていたけんかを止めようとしたという。動画にはその後、自分の車の運転席に乗り込もうとしたブレークさんが、警官2人に背後から至近距離で7回撃たれる様子が捉えられている。

 重体となったブレークさんは、同州ミルウォーキー(Milwaukee)の病院に空輸機で救急搬送された。地元メディアは同日午後、ブレークさんの手術が終わり快方に向かっているとする家族の話を報じた。司法当局によれば、関与した警官らは休職扱いとなっている。

 今回の事件は、3か月前にアフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんがミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で警官に拘束され死亡した痛ましい事件を想起させる。この事件をきっかけに全米では人種差別に抗議する大規模なデモが発生した。

 フロイドさんら警官の暴力の犠牲となった黒人の代理人として知られる人権派弁護士のベン・クランプ(Ben Crump)氏によれば、ブレークさんは女性2人のけんかを止めようとした後に警官に撃たれ、そのとき車内にはブレークさんの子ども3人がいたという。

 24日にケノーシャ市内で行われた抗議デモでは、ケノーシャ郡庁舎前に集まった多数の市民が人種差別に反対するスローガンやブレークさんの名前を叫んだ。抗議は平和的に行われたが、一部の参加者が市当局の車両に放火したほか、郡庁舎を破壊する場面もあり、同郡では24日夜から25日朝にかけて、緊急事態による夜間外出禁止令が発令された。ウィスコンシン州のトニー・エバーズ(Tony Evers)知事は、治安維持のため州兵125人を同市に派遣したと発表した。(c)Paul HANDLEY/AFP