【8月21日 AFP】大統領選の不正疑惑をめぐる抗議デモが続くベラルーシの当局は20日、アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の最有力対立候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏(37)ら野党勢力が「国家権力の掌握」をもくろんでいるとして、刑事事件として捜査を開始した。

 旧ソビエト連邦のベラルーシでは、強権体制を敷いてきたルカシェンコ氏が今月9日の大統領選で6期目当選を宣言したことで、歴史的規模の抗議デモが発生。警察の暴力的なデモ鎮圧に、欧州諸国から非難の声が上がっている。

 チハノフスカヤ氏は、不正選挙だったとしてルカシェンコ氏の退陣を求めている。同氏の陣営は今週、平和的な政権移行を目指して「調整評議会(Coordination Council)」を設立。ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)受賞作家のスベトラーナ・アレクシエービッチ(Svetlana Alexievich)氏らメンバーが19日、初会合を開き、選挙のやり直しと当局との協議を要求した。

 だが、アレクサンダー・コニュク(Alexander Konyuk)検事総長は20日、調整評議会の設立は憲法違反で、ルカシェンコ政権の転覆を謀るものだとする動画声明を発表。「このような評議会の設立と活動は、国家権力の掌握をもくろんだものだ」と主張し、「国家安全保障を損なう動きの呼び掛け」に対する刑事捜査を開始したことを明らかにした。

 有罪とみなされた場合、最長5年の禁錮刑が科される可能性がある。

 一方、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は同日、「当局と野党、市民社会とが対話することが重要だ」と述べ、欧州連合(EU)主導での仲裁を提案した。(c)AFP/Tatiana Kalinovskaya