【8月13日 AFP】フィリピンは10月から、ロシアが開発した新型コロナウイルスのワクチンの大規模臨床試験を開始する。ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は自身が「実験台」になるとしていたが、大統領報道官は13日、規制当局が安全性を保証してからの接種になると説明した。

 ロシアのワクチンをめぐっては、その有効性に懐疑的な見方が強まっている。だが、ドゥテルテ氏はワクチンへの「絶大な信頼」を表明し、臨床試験のまさに最初の実験台になると述べていた。

 ロシアの出資によりフィリピンで実施される第3相試験は来年3月末に終わる予定だ。ハリー・ロケ(Harry Roque)報道官は、第3相試験終了から数週間過ぎた5月1日以降に、大統領のワクチン接種が予定されていると説明した。

 食品薬事管理局(FDA)は来年4月にワクチンを承認する予定。ロケ報道官は「必要とされる全試験終了後、5月1日に大統領警護隊が(ワクチン接種を)大統領に許可するだろう」と述べた。

 ロシアは11日、新型コロナウイルスに対して「持続可能な免疫」をつくる世界初のワクチンを開発し、2000人を対象とした臨床試験の最終段階に入っていると発表した。このワクチンはロシアのガマレーヤ疫学微生物研究所(Gamaleya Research Institute of Epidemiology and Microbiology)と国防省が開発を手掛けており、旧ソ連が1950年代に打ち上げた人工衛星にちなんで「スプートニクV(Sputnik V)」と名付けられた。

 ロケ報道官はフィリピンの専門家チームが来月、ロシアの第1、2相試験の結果を検証し、その後、第3相試験をロシアと並行して実施すると説明した。

 フィリピンの科学技術当局者は12日、ガマレーヤ研究所の関係者と面会し、臨床試験の手順について協議している。

 新型コロナウイルスの封じ込めに苦戦しているフィリピンは、ロシアからのワクチン製造への参加要請に応じていた。

 フィリピンではまた、日本製の抗インフルエンザ薬「アビガン(Avigan)」を新型コロナウイルスの感染者に投与する臨床試験が17日に始まる予定。

 フィリピンで確認された新型コロナウイルスの感染者は14万7500人以上と、東南アジアで最多となっている。死者は2400人を超えている。 (c)AFP