【8月9日 AFP】新型コロナウイルスの影響で旅行客の激減に直面する中、台湾の航空会社が自社旅客機を活用して「どこにも行かない」観光便の提供を始めた。サービスには子ども向けの客室乗務員体験レッスンも盛り込まれている。

 桃園(Taoyuan)にある中華航空(China Airlines)の本社では8日午前、子ども50人がレッスンに参加し、模擬客室で接客を学んだ。その後、制服に身を包んだ子どもたちは、約2時間の空の旅に出発。このフライトは台湾上空から日本の領空まで飛行した後、台湾東岸に戻る。

 航空各社は事業が停滞する中で少しでも利益を得ようと奮闘しており、斬新な試みの一つとしてこうした観光便を提供している。

 中華航空の主要ライバル社であるエバー航空(EVA Airways)も8日、台湾桃園国際空港(Taoyuan International Airport)からエアバス(Airbus)A330型機の便を運航。この便は台湾北東部の岬上空を飛行し、琉球諸島(Ryukyu Islands)上空を旋回した後、絵のように美しい田園地帯が広がる南東部沿岸上を飛びながら出発地に戻る。

 飛行時間は2時間45分。エコノミークラスのチケットは5288台湾ドル(約1万9000円)前後で、ビジネスクラスは6288台湾ドル(約2万3000円)で販売されている。

 エバー航空と中華航空によるとチケットはすぐに完売したといい、数週間以内に増便を予定している。

 台湾の新型コロナウイルス感染者数は500人未満、死者数は7人で、その対策が評価されている。

 2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)から教訓を得た台湾は、新型コロナウイルスの発生直後に高度な追跡プログラムを開始。島の特性を利用して、事実上の封鎖措置を講じた。(c)AFP