【8月9日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は8日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた個人への経済的支援を延長する大統領令に署名した。世論調査では、国民の過半数がトランプ氏のコロナ危機対応に不満を抱いていることが示されている。

 トランプ氏は、議会での合意を待たずに大統領令に踏み切ったことで、支援金が「迅速に給付される」と主張。だが歳出の決定権は議会にあるため、トランプ氏の措置を受けて法廷闘争に発展する可能性がある。

 大統領令には、国民の失業給付金に週400ドル(約4万2000円)を上乗せすることが明記されているほか、住宅の強制立ち退きの一部停止や、学生ローンの返済猶予も含まれている。

 失業給付金に600ドル(約6万4000円)を加算する景気刺激策が失効し、今回の大統領令では給付額が400ドルに減額された。だがトランプ氏は、400ドルのうち100ドル(約1万600円)は連邦政府ではなく州の予算から支給されるとしており、州が手当の支給に前向きであるか、拠出可能である場合に限られるため、結果として加算額が週300ドル(約3万2000円)のみになる可能性がある。

 大統領令に含まれている給与税の納税猶予には民主党議員だけでなく多くの共和党議員も反対している。トランプ氏としては思い切った内容だが、減税ではなく納税時期を遅らせるにすぎない。

 民主党や共和党議員、ホワイトハウスの交渉担当者らは先週、家計のやりくりに苦慮している国民の救済法案をめぐる協議を続けたものの、合意には至らなかった。

 民主党は、経済を支援し、問題の多い郵便制度を大統領選までに改善することや、失業者に週600ドルの手当を上乗せすることを目指し、新たに3兆ドル(約320兆円)の大規模な刺激策を推進。

 その後、規模縮小を受け入れる姿勢を示したものの、共和党が提案する1兆ドル(約106兆円)の刺激策は拒否した。(c)AFP/Jim Watson with Sebastian Smith in Washington