【8月8日 AFP】米国は7日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官に制裁を科したと発表した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は前日、中国企業が運営する人気ソーシャルメディアアプリ2つに関わる取引を禁止する大統領令を出したばかりで、米国は対中圧力を強めている。

 米財務省は林鄭氏をはじめ、香港の警察・治安トップ、香港政策を統括する中国高官ら計11人の米国資産を凍結し、米国での金融取引を禁止すると発表。中国が国家安全維持法(国安法)を導入して以来、米国による香港関連の対中措置として最大となった。

 6月末に施行された国安法は、国家転覆などを禁じる内容で、昨年大規模な反政府デモが行われた香港の市民の不安をかき立てている。香港当局は同法導入後、新型コロナウイルスの流行を理由に香港立法会(議会)選挙を延期。また中国政府によると、国外の民主活動家6人に対し逮捕状を出した。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は「きょうの措置は、香港当局による行為が容認できないものであることを明確に伝えるものだ」と表明。国安法は1997年の香港返還前に中英が交わした合意に違反すると非難した。

 米財務省は、林鄭氏が香港の「自由と民主プロセスを抑制する中国政策の導入に直接責任を負う」と指摘している。

 トランプ米大統領は6日夜、米国人に対して動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」と通話アプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」に関わる取引を45日後に禁止する大統領令に署名。ティックトックは現在、米マイクロソフト(Microsoft)への事業売却を協議しており、トランプ氏の大統領令はこの買収案件に対する期限を事実上設けるものとなった。(c)AFP/Shaun Tandon and Rob Lever, with AFP in Beijing