【8月11日 AFP】ある人にとっては善意の印でも、他の人にはまったくの偽善ととられることがある──大爆発により打撃を受けたレバノンに対するイスラエルからの人道支援の申し出は、どうやら受け入れられそうもない。

 イスラエルとレバノンは、厳密には今でも戦闘状態にあり、外交関係もなく、お互いに対する疑念、さらには敵意が両国の関係を形作っている。

 レバノンの首都ベイルートは4日に港で発生した大爆発によって、壊滅的な状態に陥った。この事故をめぐっては当初、多くの人がイスラエルに疑惑の目を向けたが、イスラエル政府筋は「イスラエルは今回の事故に関係ない」と明言している。

 イスラエル政府は事故の数時間後、レバノンに人道援助を申し出た。同政府は声明を発表し、「イスラエルは、国際的な安全保障および政治的なコネクションを通じ、レバノン政府に人道および医療援助を提供する」と述べたが、これに対してレバノン政府はコメントを控えたままだ。

 イスラエル政府筋および外交筋によると、4日以降、国連(UN)を通じてレバノンに医療物資を送ろうとしているが、現時点では実現できていないという。

 イスラエル軍情報部のアモス・ヤドリン(Amos Yadlin)元部長は、支援について「人道的な行動」で「両国をまとめる可能性がある」との見方を報道陣に対し述べている。