【8月6日 AFP】沖合の船の中に何か月も足止めされているインド人の船員テージャスビ・ドゥセージャ(Tejasvi Duseja)さん(27)は、家に帰ることを切望している。新型コロナウイルスによる国境閉鎖とロックダウン(都市封鎖)で、船員20万人以上が船に取り残されている。

 貨物船の技術者から豪華クルーズ船の給仕係に至るまで、世界中の海上で働く人たちを巻き込んでいるこの状況について、国連(UN)は人道危機の高まりと警告。数人が自殺したとの報告もある。

 これら多くの船員が、予定の乗船期間終了後も何か月も船に閉じ込められているのは、渡航制限のために船員の通常の交代が妨げられているからだ。

 インド人所有の貨物船で働くドゥセージャさんは6月末、マレーシア近くの海上で、ワッツアップ(WhatsApp)やフェイスブック(Facebook)のメッセンジャー(Messenger)を通じてAFPに「精神的には、もう限界だ……だがまだなんとか持ちこたえているのは、他に選択肢がないからだ」と述べた。

 ドゥセージャさんは、船を下りることができないでいる約3万人のインド人船員の一人だ。7か月の契約を数か月延長した後で、コロナの流行が始まった。「私が最後にこの全長200メートルの船から下りたのは、2月だった」と語った。

 船員らは通常は6~8か月間の契約で働き、その後、下船して飛行機で出身国に帰る。その時に別の船員らと交代する。だが新型ウイルスが世界中を襲い、国をまたいだ移動がまひしたため、それが突然、できなくなった。