【8月3日 AFP】(更新)英国・北アイルランドの政治家で、同地域の和平プロセスに寄与したとして1998年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したジョン・ヒューム(John Hume)氏が死去した。83歳だった。遺族が3日、明らかにした。

 カトリック教徒を主とする社会民主労働党(SDLP)の党首を務めたヒューム氏は、親英派のアルスター統一党(UUP)のデービッド・トリンブル(David Trimble)氏とともに、1998年のベルファスト合意(Belfast Agreement)の締結に尽力したとして、ノーベル平和賞を共同受賞した。

 遺族は「急病を患ったジョンが、早朝に安らかに息を引き取ったことを、深い悲しみとともにお知らせします」とのコメントを発表。「夫であり父であり、祖父であり曽祖父、そして兄弟であったジョンは、とても愛されており、彼を失ったことは一族全員の感情を深く動かすことでしょう」と記した。

 発表によると、ヒューム氏は認知症を患い、ロンドンデリー(Londonderry)の高齢者施設に入所していたという。

 北アイルランドでは、アイルランドへの併合を望む主にカトリック教徒の民族主義者らと、英国領にとどまることを望むプロテスタント系のユニオニストとの間で、30年にわたって血で血を洗う抗争が繰り広げられ、3600人近くが死亡した。

 穏健派のヒューム氏はコミュニティーをまたいだ和平プロセスを推し進め、これが北アイルランド政府、アイルランド政府、英国政府との間で締結されたベルファスト合意に結実した。(c)AFP