【7月31日 AFP】韓国国防省は31日、脱北者の男性が泳いで南北軍事境界線を違法越境し北朝鮮に戻るのを阻止できなかったとして、海兵隊の少将1人を役職から解任した。

 この男性が泳いで越境した事実は、北朝鮮当局が先週末、警備の厳重な非武装地帯(DMZ)を越えて「逃げ帰ってきた」脱北者が新型コロナウイルスに感染している疑いがあると発表したことで初めて表ざたになった。

 韓国を脱出して北朝鮮へ行く事例は極めてまれなうえ、世界で最も防備が厳重とされるDMZを越境した事例も少ない。

 しかし、韓国軍はその後、2017年に脱北したキムという男性(24)が、首都ソウルの北西にある江華島(Ganghwa Island)の排水溝を通り抜け、漢江(Han River)を泳いで北朝鮮側に渡ったことを確認した。

 韓国軍合同参謀本部(JCS)は31日、男性がこの経路をたどる間に7回、監視カメラや熱探知装置に存在を検知されていたにもかかわらず、韓国軍の介入がなかったと発表。また、男性がタクシーで現地に到着した午前2時18分(現地時間)に、排水溝から約200メートルの距離にある検問所の警備員が「光」を目撃していたが、何の対応も取らなかったことも明らかにした。

 JCSによれば、男性は排水溝を通り抜けるのに12分ほどかかり、さらに約1時間かけて漢江を泳いで北朝鮮に渡ったという。

 韓国国防省の関係者はAFPに対し、海兵隊のペク・ギョンスン(Baek Kyung-soon )少将が安全確保を怠ったとして解任されたと述べた。(c)AFP