【7月16日 AFP】エチオピアがナイル川(Nile River)の支流に建設中の巨大ダムで15日、水位の上昇が確認され、貯水が始まったと複数のメディアが報じた。エチオピア政府は同日、水位の上昇は建設工事の「自然な工程」の一部だと説明したが、貯水を開始したかどうかは明言していない。

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 青ナイル(Blue Nile)川に2011年から建設中の巨大水力発電用ダム「大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)」をめぐっては、下流に位置するエジプトやスーダンが水量減少によって必要な取水量が確保できなくなる懸念を表明し、流域諸国で緊張が高まっている。

 エチオピア政府はかねて今月中に貯水を始める方針を明言。エジプト、スーダン両政府は貯水開始より先に、ダム運営に関してエチオピアと3か国合意を結ぶことを主張している。

 エチオピアが貯水を強行したとすれば、エジプトとスーダンの強い反発を招くのは必至だ。

 エチオピア国営メディアの報道によると、シレシ・ベケレ(Seleshi Bekele)水・灌漑(かんがい)・エネルギー相は15日、「GERDで水が張られているのは、ダム建設の自然な工程に沿ったものだ」と述べた。だが、貯水量740億立方メートルの巨大ダムの貯水を開始したかどうかは明言しなかった。

 今週AFPの取材に匿名で応じたダム関係者は、豪雨で青ナイル川が増水し、ダムの放流量を超えていると説明。「水門を閉じてはいない」が「写真によっては、上流から来る水量のせいで水位がどんどん上がっているように見える」と話した。

 シレシ氏の発言を受けて複数のメディアが15日、エチオピアがダムの貯水を開始したと報道。エジプト外務省は同日夜、報道内容について「ただちに公式の説明」を求めるとの声明を発表した。

 スーダン灌漑省も、声明で「水位が1日当たり9000万立方メートルも減少しており、GERDの水門が閉じられたのは確かだ」と発表。交渉は継続中であり「いかなる当事者による一方的な行動」も拒否すると表明した。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET