【7月13日 AFP】フランスで新型コロナウイルス関連規則に従ってマスクを着用していない利用者たちの乗車を断り、この利用者たちに殴られて脳死と判定されたバスの運転手が死亡した。遺族が明らかにした。運転手の死を受けて政界トップらは哀悼の意を表し、この「卑劣な」利用者たちを強く非難した。

 運転手のフィリップ・モンギヨ(Philippe Monguillot)さん(59)は5日、南西部バイヨンヌ(Bayonne)で暴行を受けて搬送先の病院で脳死と判定された。娘のマリーさんによると、家族が生命維持装置のスイッチを切ると判断し、モンギヨさんは10日に息を引き取ったという。

 マリーさんはAFPに対し、「私たちは父を手放すことを決断した。医師たちも、私たちもこれに同意した」と語った。

 この暴行事件に関連して、男2人が殺人罪で訴追されたが、ジェローム・ブリエ(Jerome Bourrier)検察官はAFPに対し、モンギヨさんの死を受けて2人の罪を重くするよう求める意向を明らかにした。

 モンギヨさんの遺族は8日、事件が起きたバス停から「沈黙の行進」を行い、モンギヨさんを追悼した。モンギヨさんの同僚らは事件に抗議し出勤を拒否していたが、地元のバス運営会社「ケオリス(Keolis)」は、警備を強化した上で13日に運行を再開する予定であるとしている。

 検察によるとこの事件に関連して他に2人が危険にさらされている人を助けなかった罪で、さらに1人が容疑者をかくまおうとした罪で訴追されたという。殺人罪で訴追された男2人は22歳と23歳で、いずれも以前から警察に知られていた。(c)AFP