【7月9日 AFP】韓国で9日、女性への性的暴行で有罪判決を受けた元政治家の母親の葬儀に文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領が弔花を贈っていたことが判明し、人権団体などから批判の声が上がった。文氏は大統領選期間中、「フェミニストの指導者」になると公約していた。

 忠清南道(South Chungcheong Province)前知事の安熙正(アン・ヒジョン、Ahn Hee-jung)受刑者の母親の葬儀は6日に執り行われ、文氏のほか政治家数十人が花を贈った。ほぼ全員が男性で、大半は中道左派の与党「共に民主党」の党員だった。

 安受刑者は2017年の大統領選挙の予備選で文氏に次ぐ2位となる有力政治家だったが、元秘書の女性から数回にわたって性的暴行を受けたと訴えられ、優越的立場を乱用し性交渉を持った罪で2019年に有罪判決を受けた。

 現在、安受刑者は懲役3年6月の刑に服している。

 女性の権利団体や進歩派の政治家らは弔花が贈られたことに強く反発しており、文氏らの行為は政界の伝統主義的な思考を示し、性犯罪は気にしなくてよいというメッセージを送るものだと批判している。

 コメンテーターのチェ・ムンソン(Choi Moon-sun)氏は全国紙・韓国日報(Hankook Ilbo)で、「哀悼の意を含め、大統領が発信するメッセージはすべて統治行為だ」と指摘した。

 大統領府は9日、「包括的な状況判断」を踏まえて弔花を贈ったと釈明した。(c)AFP