【7月8日 AFP】世界保健機関(WHO)は7日、新型コロナウイルスが空中で2メートルをはるかに超える距離を移動する可能性があると世界の科学者らが指摘したことを受け、空気感染に関する「新たな証拠」を精査する意向を表明した。

 WHOで感染症予防の技術責任者を務めるベネデッタ・アレグランジ(Benedetta Allegranzi)氏はインターネット上で行われた記者会見で、「私たちは、この分野に新たな証拠があることを認識している」と言明。「したがって、私たちはこの証拠を受け入れ、それが伝播(でんぱ)様式や必要な予防措置に関し生む意味を理解しなければならないと考えている」と述べた。

 WHOは新型ウイルスの感染経路に関する知識をまとめた新たな科学報告書を近日中に発表し、新証拠に沿った指針を定められるようにするとしている。

 2メートルの対人距離確保の推奨は、主要な新型ウイルス対策の一つとなってきた。しかし、世界の科学者239人は6日、同ウイルスが空気中で2メートルよりはるかに遠くまで広がることを示した意見書を発表していた。

 感染者が息を吐くと、飛沫(ひまつ)が空中に放出される。科学者らは意見書で、5マイクロメートル未満の飛沫は数時間にわたり空中を漂い、数十メートルの距離を移動することもあると指摘している。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、世界では先週末だけで新たに40万人の感染が報告されており、流行減速の兆しは見られないと指摘した。累計感染者数が40万人に達するまでは、発生から12週間かかっていた。

 テドロス氏は「流行は加速しており、パンデミック(世界的な大流行)のピークに達していないことは明らか」と説明。「世界の死者数は横ばいになったように見えるが、実際には一部の国が死者数抑制で大きく前進する一方で、他の国では死者数が依然として増加している」と述べた。(c)AFP