【7月8日 CNS】中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ラサ市(Lhasa)で先月26日、蔵棋(チベット碁)の腕を競い合う「2020雲宿・傾城杯蔵棋春季段位大会」が開かれた。昨年12月にチベットで初めて行われた大会で段位を持つ棋士40人が誕生したのに続き、勒輝(Le Hui)さんら新たに25人の棋士が誕生した。

 チベット碁はチベット自治区や四川省(Sichuan)、青海省(Qinghai)などで伝承されてきた囲碁の一種。中国や日本の囲碁と似ている「密芒(Mi Mang)」と、西洋のダイヤモンドゲームのような「久棋(Jiu Qi)」という二つのタイプに分かれる。密芒は歴史の流れの中で継承者が減少し存続の危機に直面していた。一方の久棋は娯楽性が高く、人気が続いている。チベット碁を継承するためチベット自治区は2016年に中国初のチベット碁協会を設立。2019年5月には段位制度を制定し、棋士の実力を測れるようにした。

 密芒の最高段位アマ6段でチベット碁協会の尚涛(Shang Tao)主席は「近年、チベット碁の保護と発展が進んできた。今回の大会も、成人の部と子どもの部を行っています」と話す。

 この日の大会では25人の参加者が4局ずつ対戦。勒輝さんともう1人の選手が同じ成績を獲得し、勒輝さんがプレーオフの大局で勝利し、チベットで2人目の久棋アマ6段の棋士となった。勒輝さんは「子どもの頃からチベット碁が大好きでした。碁盤がなかったので、土に盤を書き、碁石の代わりに小石やガラスを使っていました。今回のようなレベルが高い大会で優勝でき、本当にうれしいです」と喜びを語った。

 中学教師の曲扎(Quzha)さんは、チベット碁を4年間習っただけだが、大会で5位になった。「個人的な興味とチベット碁を広めたい両方の思いから、学校でチベット碁の課外クラスを作ったんです。多くの子どもたちにチベット碁の魅力を感じてもらい、心を鍛えて成長することにもつなげたい」と語った。

 尚涛氏は「段位制度の導入は、チベット碁の普及に大きな役割を果たしただけではない。チベット碁が中国の国家無形文化遺産に指定されることも期待され、全国の少数民族伝統スポーツ大会の正式項目になる」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News