【7月5日 AFP】今季のスペイン1部リーグのタイトル獲得に黄信号がともっているFCバルセロナ(FC Barcelona)だが、クラブでは、リオネル・メッシ(Lionel Messi)退団というはるかに大きな痛手を被る可能性が浮上している。

 2021年でバルセロナとの契約が満了になるメッシは、クラブの方向性に不満をため、交渉をストップさせていると報じられている。

 国内ラジオ局のカデナ・セル(Cadena Ser)は2日、「メッシがバルサ退団を考えている」「現時点でのメッシの考えは、2021年で契約を満了してバルセロナを去ることだ。契約延長の動きは停滞している。交渉は順調にスタートし、相互理解も得られていたが、最近の出来事でメッシはすべて考え直すことになった」と伝えた。

 この報道について聞かれたキケ・セティエン(Quique Setien)監督は4日、「臆測で話はしない。本人から聞いたわけではないし、何か話したということも聞いていない」「メッシのことは自分でよく見ているし、自分が関わっていないことはすべて臆測だ。話さなければならないことだけを話す。それがすべてだ」と答えた。

 しかしメッシは2月、今のチームが欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)を制覇できるとは思わないと話している。

 ジョゼップ・マリア・バルトメウ(Josep Maria Bartomeu)会長を筆頭とするフロントとの対立も目立ち、1月のエルネスト・バルベルデ(Ernesto Valverde)監督解任に際しては、選手の責任だと示唆したエリック・アビダル(Eric Abidal)スポーティング・ディレクター(SD)を公然と批判した。

 また、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)のさなかだった3月の給与削減をめぐっては、選手の先頭に立って「クラブの内部に選手を探ったり、圧力をかけて何かを強制したりしようという動きがあることに驚きを禁じ得ない。ずっと以前から、協力する意思を明確にしているのに」とクラブの見解に反論した。

 バルセロナでは2021年に会長選が行われ、バルトメウ会長はそこで退任する。立候補を予定しているビクトル・フォント(Victor Font)氏は、メッシのかつてのチームメートであるシャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)監督の招へいを目指しており、シャビ体制が誕生すればメッシとチームは活気を取り戻すだろう。しかし、バルトメウ会長の在任中にシャビ監督が戻ってくる可能性は低く、政権の成立には少なくともあと1年待たなくてはならない。

 メッシが交渉継続を拒んでいるのは、現フロントのさらなる弱体化を狙う政治的な駆け引きの可能性もある。しかし33歳のメッシにも、無駄にできるほど多くの時間が残されているわけではない。(c)AFP