この写真を選んだ理由は2つある。
第一に、全世界が不景気に陥り毎日が暗いニュースばかりの中、あまり報道されない医療従事者の日々を伝え世に希望を与えるべきだ。写真からは拍手喝采とともに、笑みを浮かべる人も見られる。自粛生活が長引き不平不満を訴える人も多いが、医療従事者のおかげで回復率の増加など未来が明るくなるような報道をすべきである。
第二に、全世界の医療従事者へ敬意と感謝をすべきだからだ。第一線でいつも戦っているのは彼らであり、危険と隣り合わせの中働いてくださっている。私たちができること”STAY HOME” はもちろん、オンライン上でも彼らに感謝を伝えることで社会がうまく回るだろう。
[明治大学 翁長 歩美]

[講評] 羽場久美子(青山学院大学国際政治経済学部教授)
 欧州では、医療従事者に、感謝を送ろうという試みが、フランスでもイギリスでも各国あちこちでなされた。医療崩壊が起こったからでもあった。これはNHS(国民保険サービス)のスタッフたちが、医療従事者に感謝を送ろうと、毎日一定時間に拍手をしている写真である。小さな子供も一緒に拍手する写真がまぶしい。
 現実にはイギリスやフランスでは、マイノリティ(黒人、アジア人、イスラム教徒)の医療介護関係者が前線に立ちその多くが感染したり死亡したりしていることもあり、医療従事者にも格差があることが明らかとなり決して手放しで称賛できることではない。しかしそれでも前線に立って頑張ってくれる方々をたたえ感謝することでコロナに一丸となって戦おうとする様子が見える。医療社会保障大国イギリスは、欧州最大の死者4.4万人を出し、いまだ感染者も死者も終息していない。中国を批判し黒人やマイノリティを犠牲にするのではなく、世界の感染を収束させ、体勢を立て直し、米欧の歴史的役割であったはずの、世界をリードし医療の前線で戦っている人たちに感謝し、貧困国や破綻国家を救う方向に進むことが、米欧・日本を含む先進国の責務でもあろう。