【7月3日 AFP】英国が香港住民を対象に提案している英市民権取得への道は、中国という巨大な障害に直面している。英国の申し出に乗ろうとする香港住民の試みが、中国によって挫折させられる可能性があるのだ。

■誰でも英国に行けるのか

 英市民権獲得への道が開かれるのは、香港住民750万人のうち、英国海外市民(BNO)旅券(パスポート)の保有者と、同旅券取得の有資格者を合わせた290万人だ。

 中国政府は2日、対象となる香港住民を「中国国籍の中国同胞人」だと見ていると言明した。一方、英国では、対象となるのはおおむね、1997年の中国への香港返還前に特別旅券の有資格者だった、より年齢の高い人々だとの指摘もある。

 ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相によると、対象者に「定員」はなく、有資格者の「被扶養者」である若年層も申請できる。

■中国が反対したら

 中国はすでに反対する寸前まで来ている。

 在英中国大使館は2日、英国が示した方針に怒りをあらわにし、英国に対して「対応する措置」を取る意向を示したが、詳細は明らかにしなかった。

 中国政府はこれまで、英市民に中国市民権への道を開く考えを示したことはなく、今もそれを行う気配はない。

 だが、中国政府は有資格の香港住民が国を離れる権利を否定したり、移民手続きをめぐる中国の法的管轄権を再主張したりする可能性がある。

 中国大使館は、市民権の付与は「(英国)自らの立場と誓約、また国際法および国際関係を規定する基本的規範に違反するもの」と警告している。

 ラーブ氏は1日、香港住民が中国を離れることを中国に強制的に認めさせるために英国ができることはほとんどないと認めた。