【6月30日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)は29日、通算6度の選手権制覇を誇るエースドライバーのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が人種差別との闘いを呼び掛けている中で、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の活動を支持するために黒を基調とした新たなカラーリングのマシンで2020年シーズンに臨むと発表した。

 新型コロナウイルスの影響で3か月間の活動停止に追い込まれていた今季のF1は、今週末のオーストリアGP(Austrian Grand Prix 2020)で開幕する。この数か月間に世界は、アフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡した先月の事件をきっかけに怒りが爆発し、反人種差別のムーブメントが起きるなどして大きく様変わりした。

 メルセデスはコメント文を発表し、「われわれの組織は、少数民族に属する職員がわずか3パーセントで、女性従業員も12パーセントにすぎない」「この多様性の欠如は、われわれが新しいアプローチを見いだし、今は手が届いていない多くの地域社会から才能を引き抜く必要があるということを示している」と述べた。

 さらには、チームの「価値と文化」に対する誇りを示す中で、「『Black Lives Matter』活動が照らすサーチライトは、人種差別やあらゆる差別との闘いにおいて、われわれにはどれほど新たな基準や行動が必要なのかを示している」と強調した。

「2020年シーズンにおいて、われわれは黒を基調としたカラーリングでレースに臨むことを選択し、チームの多様性を改善することを公約に掲げる。そして、人種差別やあらゆる差別に対抗して立ち上がることを明言する」

 一方、F1で唯一の黒人ドライバーであるハミルトンは、より多くの黒人青年がモータースポーツ界に進出できるようにハミルトン・コミッション(Hamilton Commission)を設立した。

 今季のF1で史上最多記録に並ぶ通算7度目の総合優勝を目指すハミルトンは、「個人であろうとブランドあるいは会社であろうと、平等や開放を保証することに関して本当に意味のある改革を実現するべく、この機会をとらえて自分たちで学んでいくこと」が重要だと訴えた。(c)AFP