【6月25日 AFP】米首都ワシントンで、反人種差別運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」関連の一部のデモ参加者が歴史上の人物の像の破壊を試みたことを受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は24日、像を壊さないようデモ参加者に警告した。国防総省は、首都にある像などを守るため、州兵400人を待機させている。

 トランプ氏は「いまや彼らはイエス・キリスト(Jesus Christ)を狙っている、ジョージ・ワシントン(George Washington)を狙っている、エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)、トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)を狙っている」 「そんなことは私がここにいる間は許さない」と述べ、像を損壊した者は禁錮10年を科される可能性があると指摘した。

 22日夜にはホワイトハウス(White House)のすぐ近くで、奴隷を所有し米先住民に対する苛烈な排除を組織的に行った第7代米大統領アンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson)の像をデモ参加者らが倒そうとした。これを受けてトランプ氏は実力で対処する可能性を示唆した。

 デービッド・バーンハート(David Bernhardt)内務長官は、首都ワシントン各地にある過去の米大統領や国内外の戦争の英雄たちの像への攻撃を防ぐため、州兵の展開を要請した。

 トランプ氏がイエス・キリストが狙われていると言ったのは、物議を醸しているアフリカ系米国人活動家、ショーン・キング(Shaun King)氏による23日の挑発的なツイートを指したもの。キング氏はツイッター(Twitter)に、「イエス・キリストのものだとされている欧州の白人の像は倒すべきだと思う。あのような像は白人優越主義の一つの形だ。常にそうだった」と投稿していた。

 首都ワシントンのコロンビア特別区州兵の報道官は24日、州兵400人が展開に備えているが、首都各地にある多数の像を管理している内務省国立公園局からの出動要請はまだないと述べた。

 クレイグ・クラッパー(Craig Clapper)曹長はAFPに対し、「準備はできている。実際に像に派遣された者は一人もいない」と語った。首都ワシントンの州兵は24日夜、致死性の武器や催涙ガス、ペッパースプレーを持たずに出動して警察を支援する可能性があるという。もっとも「彼ら(警察)に私たちの助けは不要かもしれない」とクラッパー曹長は語った。

 映像前半は22日に第7代米大統領アンドリュー・ジャクソンの像を倒そうとしたデモ参加者。同日撮影・提供。後半はホワイトハウス周辺で警備にあたる警察、23日撮影。(c)AFP