【6月26日 AFP】2019年に行われたW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)について、ワールドラグビー(World Rugby)のブレット・ゴスパー(Brett Gosper)CEOが、大会は「大きなレガシー」を残したと話し、日本大会の成功は他国に勇気を与え、今後米国なども開催に名乗りを上げるのではないかと期待した。

 国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(Ernst & YoungEY)は「ラグビーW杯2019の経済効果」と題した報告書を発表し、大会は4万6000人の雇用を創出、維持するとともに、ラグビーW杯史上最高となる43億ポンド(約5730億円)の生産高があったと試算した。

 その中で、AFPのオンラインインタビューに応じたゴスパーCEOは、「日本大会は史上屈指の、ひょっとすると史上最高のW杯」で、あらゆる期待を上回ったとたたえた。

 そして「日本にとっては大きなレガシーになっている」「学校の部員や、SNSを通じた若い視聴者が増え、テレビではスコットランド対日本戦は5800万人が視聴した」「それはつまり、W杯があらゆる年齢層に受け入れられる全国的な一大イベントだったということだ」と話した。

 ゴスパーCEOは、日本大会はアジアで多くの若手アスリートがラグビーに引かれるきっかけをつくり、同時に新たな収入源をもたらしたと話している。

「レガシーはスタジアムの改装やジム設備の充実、ラグビー人口の増加にとどまらない。ワールドラグビーにとっては、3番目に大きい放送市場が生まれたことも財産になる」「われわれの収益が世界120か国の協会に分配されていることを考えれば、ラグビー界全体にとっての財産だ」

 ゴスパー氏はまた、日本大会の成功はラグビーをプレーする同等の知名度の国が大会を開催できるという自信を、ワールドラグビー上層部に与えるだろうと考えている。

 米国ラグビー協会(USA Rugby)は今年3月に破産申請を申し立てたものの、ゴスパー氏によれば、米国が2027年と2031年のW杯招致に乗り出さないことはないという。

「私は彼らの時代が来ると確信している」「破産により若干複雑になってはいるが、現在の世界は短期的にも中期的にもすべてがより複雑化している」

「W杯を行うには、どの連盟でもその域を超える財政的努力が必要となる」「イングランドやフランスは政府による経済的な後ろ盾がある」

「彼らが二つのうちどちらかのW杯に名乗りを上げられることを願う。米国がW杯の開催に関心を持っていることは興味深く、ラグビーにとっても大きな賛辞になる」

 CEOによれば、ラグビー界は伝統的にフランスと英国に依存していて、第三の巨大市場を維持することが課題だった。ゴスパーCEOは「だからこそ、われわれは日本とアジアに進出し、新しい市場の創出と競技人口の増加を目指した」「おかげで大きな商業的足跡を残し、それを世界の他の地域に還元できるようになった」と話した。

 ゴスパーCEOにとっての大会のハイライトは、台風19号(アジア名:ハギビス、Hagibis)の影響で一時は開催が危ぶまれたものの、無事に実施された日本対スコットランド戦だったという。日本はこの試合に勝利し、史上初となるラグビーW杯ベスト8入りを果たした。

「私にとっては、あの試合が大会で一番感動した」「50人のスタッフがスタジアムで徹夜の作業を行い、台風が去った後の試合の準備をしてくれた」「命の危険もあっただろうに」「彼らはわが身を顧みずに試合の開催に尽力し、そして行われた熱戦は、最高の盛り上がりを見せた」 (c)AFP/Pirate IRWIN