【6月25日 CNS】中国・湖北省(Hubei)枝江市(Zhijiang)では今、伝統の手作り布靴が脚光を浴びている。工房は観光地としてにぎわい、布靴は海外にまで輸出。地元でほそぼそと続いてきた文化が地域を活性化させている。

「職人たちの腕で、枝江の布靴はどんどん良くなっています」。工房で職人たちの作業を見ながら、湖北省枝江民俗手作り靴の省級代表継承者・李厚春(Li Houchun)さんが話した。

 長い歴史を誇る枝江の布靴は、天然の草や地元で織った綿布を使っている。2009年には湖北省の無形文化遺産に選ばれている。

 近年、枝江の手作り布靴が再評価され、李厚春さんは工房と観光施設を兼ね備えた「歩歩升布靴文化村」を設立。経済的に貧しい住民や失業した労働者を布靴職人として育成し、「歩歩升布靴」はブランドとして成長した。

 文化村の工房では、職人たちが黙々と布靴を作っている。18の制作過程に分かれ、200メートルを超える綿糸や15平方フィートの綿布を使用している。

 職人の一人、李志珍(Li Zhizhen)さんは「靴を作るには時間をたっぷりかけることが必要。手が速い人でも一足作るのに2〜3日はかかる」と話す。

 枝江の手作り布靴はEコマースを通じて、東南アジア、欧州、米国にも輸出している。文化村は工房や布靴の展示ホールのほか、観光客向けの実践体験コース、レストラン、宿泊施設もつくり、人気の観光スポットに。2019年には約11万人の観光客と2万人以上の研修グループが訪れ、営業収入は2000万元(約3億円)に上っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News