【6月22日 AFP】ドイツ南部シュツットガルト(Stuttgart)で20日深夜~21日未明、パーティーやイベントに参加していた数百人が暴徒化し、警官を襲撃したり店舗で略奪をはたらいたりする騒ぎに発展した。独当局は21日、「前例のない規模」の暴動への衝撃を表明した。

 警察は、この騒ぎで24人を逮捕し、警官19人が負傷したと発表した。逮捕者のうち12人がドイツ人で、残る12人の国籍はばらばらだという。

 市警察のフランク・ルッツ(Frank Lutz)本部長は、「信じられない光景に言葉を失った。46年の警察勤務で、こんなことは初めてだ」と述べた。

 トーマス・ベルガー(Thomas Berger)副本部長によると、騒動のきっかけは、夜半過ぎに警察が薬物使用の疑いでドイツ人の若者(17)の所持品検査を行ったことだった。すぐに、市内最大の広場周辺にいた人々が若者の周囲に集まってきて、警官らに石や瓶などを投げつけ始めたという。

 その後、男性中心の集団は棒などで近くに駐車していたパトカーの窓ガラスをたたき割り、やがて約400~500人が警官や救急隊員と衝突する騒ぎとなった。

 警察が集団を押し返すと、男たちは小グループに分かれて市中心部の商業地区ケーニッヒ通り(Koenigstrasse)周辺でショーウインドーを割ったり、店舗で略奪をはたらいたりと暴れ回った。ツイッター(Twitter)に投稿された動画には、ガラスを割って店に押し入った人々が商品を路上にまき散らす様子が捉えられている。

 地元放送局SWRによれば、宝飾店の品物が全て奪われたり、携帯電話取扱店が破壊されたりした。9店舗が略奪の被害に遭い、ガラスが割られるなどしたのは14店舗に上った。

 暴動が収まったのは発生から4時間半後だった。社会民主党(SPD)の地方議員サシャ・ビンダー(Sascha Binder)氏は、「市街戦のような光景」だったと述べている。

 警察は、この暴動に政治的動機はないとの見方を示している。フリッツ・クーン(Fritz Kuhn)市長によると、市内では新型コロナウイルス対策でディスコやクラブがまだ休業中のため、大勢の人が市中心部に繰り出して夏至の夜を楽しんでいたという。(c)AFP