【7月4日 AFP】ホワイトボードをかごに入れ、南米ボリビアのでこぼこした田舎道を自転車で走る教師のウィルフレッド・ネグレテ(Wilfredo Negrete)さん(35)。新型コロナウイルスに伴うロックダウン(都市封鎖)によって授業を受けられない児童のため、週3回、児童らの自宅を自転車で訪れている。

 中部コチャバンバ(Cochabamba)県のアイキレ(Aiquile)に住むネグレテさんは「自転車を持っていたから、ホワイトボードをつかんで児童の家に向かった」と語る。

 ボリビアでは3月に新型コロナウイルスの感染拡大が発生し、学校の授業は中断。ボリビアは被害が深刻なブラジル、チリ、ペルーと国境を接しており、2日時点で感染者3万4000人以上、死者1200人以上が確認されている。

 ボリビア当局はインターネットや携帯電話を使用したオンライン授業を推進しているが、遠隔地の多くの家庭にとってそのような手段は入手しづらく、授業を受けられない子どもたちが取り残されている状態だ。

 そんな中、ホワイトボードを運ぶために自転車に台車を取り付けるなど、自身も2児の父親であるネグレテさんの献身的な姿には「時間を割いて子どもに授業をしてくれて本当に素晴らしい」と児童の親から評価する声も上がっている。

 ネグレテさんはまた、自宅でも授業を行っている。机は児童間で距離を取れるように並べ、授業の前後にはジェルで児童らの手をアルコール消毒している。

 月給およそ500ドル(約5万4000円)というネグレテさんの元には、自身の児童のほか、後れを取りたくない子どもたちも訪れている。(c)AFP