【6月19日 AFP】「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」など米政府系放送局を管轄する「米国グローバルメディア局(USAGM)」で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に任命された新局長の就任に伴って大規模な組織改革が始まり、放送局トップの辞任や解任が相次いでいる。編集権の独立が失われて政治色が強まるとの懸念が広がっている。

 いずれも経験豊富なジャーナリストであるVOAのアマンダ・ベネット(Amanda Bennett)局長とサンディ・スガワラ(Sandy Sugawara)副局長は15日、マイケル・パック(Michael Pack)新局長の就任を前に、そろって辞任を発表した。

 17日にはパック氏が他の政府系放送局の局長らを解任し、USAGMの監査委員会を解散させた。

 USAGMは報道の自由のない国々にニュースを提供する目的で設立された組織で、米政府が出資しているが、独立した編集権を持って運営されてきた。米議員らは今回の動きについて、主要メディアをこき下ろしてきたトランプ氏が政府系放送局を利用する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

 米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)広報外交・国際コミュニケーション研究所(Institute for Public Diplomacy and Global Communication)のジャネット・スティール(Janet Steele)所長も、「最も恐れていたことが裏付けられた。パック氏の任命についてわれわれは、USAGMをトランプ政権の国際プロパガンダ(政治宣伝)機関に変える取り組みの一環だとみていた」と懸念を表明した。

 ホワイトハウス(White House)は4月、VOAが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に関する「中国のプロパガンダ」を拡散していると批判。ベネット氏によると、保健当局者らにVOAの取材を拒否するよう指示したという。(c)AFP