【6月16日 AFP】韓国に対する攻撃的言論を強めている北朝鮮は16日、国営朝鮮中央通信(KCNA)を通じ、朝鮮人民軍を出動させる「準備は万全だ」と述べた。数日前には金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)氏が、韓国に対する軍事行動の可能性をちらつかせていた。

 韓国の活動家や脱北者らは以前から風船や空き瓶を使って、金委員長の人権侵害や核開発計画を批判するビラを北朝鮮に送り込んでいる。これをめぐり北朝鮮は6月に入って韓国政府に対する激しい非難を繰り返し、先週には韓国との公式な通信連絡線を完全に遮断すると発表した。

 北朝鮮のこうした動きについて専門家は、米国との核交渉が暗礁に乗り上げる中、危機をつくり上げて韓国政府への圧力を強めたい狙いがあるのではないかと分析している。

 朝鮮人民軍総参謀部は16日、南北関係は悪化しており、「前線を要塞(ようさい)化する」ための「行動計画」を検討していると発表した。南北合意により非武装化された地帯への軍の再進出も検討しているという。

 韓国メディアは、緊張緩和を目指して2018年に撤去することで合意した非武装地帯(DMZ)近くの監視所の再設置もあり得ると伝えている。

 北朝鮮がビラの散布を非難して以来、韓国統一省はそうした活動を「今後徹底して取り締まる」と警告し、脱北者の2団体を刑事告発した。(c)AFP