【6月12日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は11日、韓国政府が北朝鮮にビラを飛ばした二つの脱北者団体を刑事告発したことをめぐり、韓国政府は北朝鮮の脅しに「平身低頭」しており、人権派弁護士出身の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領とその政権が北朝鮮人のために全く立ち上がろうとしないのは「恥ずべきこと」だと非難した。

 韓国統一省は11日、北朝鮮に向けて同国政府の人権侵害と核開発を批判する内容のビラを飛ばす行為をめぐり、二つの脱北者団体を刑事告発した。

 これに対しHRWは、北朝鮮の脅しに「平身低頭」しているとして韓国政府を非難した。

 HRWのフィル・ロバートソン(Phil Robertson)アジア局長代理は、「文大統領は、北朝鮮に向けてメッセージや物資を付けた風船を送る行為の全面的禁止を提案するのではなく、言論の自由を尊重し、検閲をやめるよう北朝鮮に対して公式に求めるべきだ」と訴えた。

 さらに、「文大統領とその同志たちは、韓国で人権を守る闘いにその人生とキャリアの大半を費やしてきた」「文大統領とその政権が、北朝鮮人の権利のために全く立ち上がろうとしないのは恥ずべきことだ」と指摘した。

 青瓦台(韓国大統領府、Blue House)は今週、ビラ散布に「深い遺憾の意」を表し、そうした行為を「徹底的に取り締まる」方針を示していた。金有根(キム・ユグン、Kim You-geun)国家安保室第1次長はビラを飛ばす行為について、「朝鮮半島(Korean Peninsula)の平和と繁栄を実現する試み」の助けとはならず、違法だと述べた。

 北朝鮮は、韓国との軍事的・政治的な通信連絡線を完全に遮断すると発表するなど、ビラを飛ばす行為に強く反発している。(c)AFP