【6月9日 AFP】新型コロナウイルスの影響で中断されていた今季の米国男子ゴルフツアー(US PGA Tour)が、11日に米テキサス州フォートワース(Fort Worth)のコロニアルCC(Colonial Country Club、パー70)で開幕するチャールズ・シュワブ・チャレンジ(Charles Schwab Challenge 2020)で再開される。

 同大会には多くのスター選手が出場することになっており、初日終了後に中止された3月のザ・プレーヤーズ選手権(The Players Championship 2020)以来となる戦いに備えている。そこで、AFPは三つのポイントに注目する。

■ウッズは不在

 今大会では世界ランキングトップ20人のうち16人が初日のティーオフに臨むことになっているが、同11位のタイガー・ウッズ(Tiger Woods、米国)はその中に入っていない。同選手が最後にプレーしたのは、2月に行われたジェネシス・インビテーショナル(Genesis Invitational 2020)で、ザ・プレーヤーズ選手権を含むその後の4戦は腰の痛みで欠場していた。

 メジャー通算15勝のウッズは、先月24日に行われたチャリティーマッチで米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の元QBペイトン・マニング(Peyton Manning)氏とタッグを組み、フィル・ミケルソン(Phil Mickelson)とNFLのスター選手トム・ブレイディ(Tom Brady)のペアに勝利を収めるなど、トップレベルまで調子を上げていた様子だった。

 しかし、8月から9月にかけて大きく変更されて慌ただしくなった日程に向けて、ウッズは繊細な体を今回は温存しているとみられ、遅くともザ・メモリアルトーナメント(The Memorial Tournament 2020)の初日を迎える7月16日には復帰する可能性がある。同選手は体が健康な限り、ジャック・ニクラス(Jack Nicklaus)氏が大会ホストの同大会の出場を見送ったことは一度もない。

 昨年10月のZOZOチャンピオンシップ(Zozo Championship)でサム・スニード(Sam Snead)氏が持つ米ツアー最多82勝の記録に並んだウッズは、あと1勝で単独1位に浮上する。

■「大会初出場」のマキロイが大本命

 世界ランク1位のロリー・マキロイ(Rory McIlroy、北アイルランド)は、大会初出場ながら優勝候補筆頭に挙げられている。ジョン・ラーム(Jon Rahm、スペイン)やブルックス・ケプカ(Brooks Koepka、米国)、ダスティン・ジョンソン(Dustin Johnson、米国)、そして同じく初出場のジャスティン・トーマス(Justin Thomas、米国)の世界トップ5が優勝争いに加わるとみられる。

 しかし、今大会の優勝者を予想するのは簡単ではなく、出場選手148人のうち101人がPGAツアー優勝経験者であることから、大会史上最も厳しい戦いになると予想される。マキロイ、ラーム、ケプカのトップ3は予選2日間で同じ組に入り、この豪華な顔ぶれは無観客という慣れない雰囲気の中でプレーすることになった。

 一方、世界4位のトーマスは仲の良い同胞のジョーダン・スピース(Jordan Spieth)とリッキー・ファウラー(Rickie Fowler)と同組に入り、高い視聴率が予想されている今大会で和気あいあいとプレーに臨むとみられている。

■公式世界ゴルフランキング凍結解除への疑問

 PGAツアーの再開が世界中で歓迎されている一方で、公式世界ゴルフランキング(OWGR)の凍結を解除する決断はあまり受け入れられていない。

 チャールズ・シュワブ・チャレンジや下部のコーン・フェリーツアー(Korn Ferry Tour)など、今週米国で開催されるツアーに出場する選手にはランキングポイントが与えられる。

 しかし、欧州ツアーは7月下旬まで再開されず、アジアツアーが動き出すのも9月以降であることから、これらのサーキットが主戦場でポイントを稼ぐ機会がない選手たちは、ソーシャルメディアで怒りの声を爆発させた。

 OWGRの関係者はコメント文で、平均ポイントによる算出方法が問題を解決すると説明。しかし、選手がツアー延期の影響でトップ50から陥落し、その結果としてメジャー大会や世界ゴルフ選手権(World Golf Championships)の出場権を逃すなどした場合は、不満が噴出する可能性がある。(c)AFP/Daniel HICKS