【6月3日 AFP】陸上女子ハンマー投げのグウェン・ベリー(Gwen Berry)が2日、黒人差別を非難する声明を発表した米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に対し、それならば自分に対する以前の扱いも謝罪してほしいと要求した。

 ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、武器を持たない黒人男性が白人警官に首を膝で押さえられ死亡した事件を受けて、USOPCは選手に書簡を送った。その中でサラ・ハーシュランド(Sarah Hirshland)最高経営責任者(CEO)は、この1週間の混乱を目にして「絶望感」を抱いており、「米国の黒人に不当な影響を及ぼす組織的な不平等を絶対的に非難する」と話している。

 しかしその言葉は、ベリーには空っぽに聞こえたようだ。2016年のリオデジャネイロ五輪にも出場しているベリーは、2019年のパンアメリカン競技大会(2019 Pan American Games)で金メダルを獲得した際、表彰式で拳を突き上げて人種差別に抗議した。

 これに対してUSOPCは注意を与え、12か月の「執行猶予」にするが次は重い処分を科すと警告した。国際オリンピック委員会(IOC)も1月、東京五輪の表彰台で抗議を行った場合は厳罰に処すと各選手に通達していた。

 ハーシュランドCEOのコメントを受けて、ベリーは謝罪を求めている。

「謝罪の手紙やメールがほしい。ちょうどあなたたちやIOCが、執行猶予を言い渡すメールをしてきたときのように」「ばかにするのもいい加減にしてほしい」

 そのときの注意喚起でおよそ5万ドル(約540万円)のスポンサー収入を失ったベリーは、2日に公開されたスポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)誌のインタビューで、ようやく「理解された」気がすると話している。

「私があのポーズを取ったときもいろいろなことが起こっていたけれど、誰も何もしなかった」「あのときは全く理解されなかった。だけど今は、みんなが私と同じ気持ちを味わっているように感じる」 (c)AFP