【6月1日 AFP】インド外務省は5月31日、首都ニューデリーにある在印パキスタン高等弁務官事務所(大使館に相当)の職員2人が「スパイ行為に深く関与した」として、本国に強制送還されると明らかにした。パキスタン側はスパイ行為について「事実無根」だと否定している。

 インドとパキスタンは1947年に英国領から分離独立して以来、両国の国境付近に位置するカシミール(Kashmir)地方の領有権をめぐって激しく対立してきた。

 インド外務省はパキスタンの外交官2人について、「外交使節団の一員の地位にふさわしくない行為に深く関与しており、『ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)』に指定した」と発表。

 一方、パキスタン外務省は「インド側の事実無根の申し立てを断固として否定する」と反発しており、「明らかなウィーン条約違反である」と主張している。

 インド政府は昨年、ヒマラヤ(Himalaya)地域にありイスラム教徒が多く住むジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州の自治権を剥奪し、事態の鎮静化を図るため夜間外出禁止令を発令。それ以降、カシミール地方は印パ両国にとって緊張激化の原因となっている。

 印パ両国は独立以降、3度の戦争を行っており、うち2度はカシミール地方をめぐるものだった。(c)AFP/Glenda KWEK