【5月27日 Xinhua News】中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China)の兪書宏(Yu Shuhong)院士(アカデミー会員)率いる研究チームが最近、総合性能の高い「スーパー材料」を開発した。自動車、航空宇宙などの分野に応用できる見通しで、エンジニアリングプラスチックを代替して環境汚染を減らす可能性があるという。

 セルロースは世界で包蔵量の最も豊富な天然高分子化合物で、樹木、水稲、小麦、綿花の中に大量に存在する。セルロースのミクロレベルの性能は強大で、直径が頭髪の1万分の1というナノセルロースの強度が鉄鋼を超えることはあまり知られていない。しかし、セルロースでできたマクロ材料は「弱く」なる。従って、マクロレベルでセルロースの強大な性能を再現することが、国際的材料研究の重大な挑戦となっていた。

 兪院士のチームは最近、革新的テクノロジーを使って、世界で初めてナノセルロースを一種の新材料に加工した。検証の結果、その密度は鋼の6分の1、航空アルミ合金の半分しかない。ずっと軽いが、「より強くよりねばりがある」。

 この新材料は寸法の安定性が極めて高く、熱膨張率(CTE)がセラミックに近い。摂氏零下120度から摂氏150度の範囲で、温度が100度変わっても、寸法の変化は1万分の5にもならない。さらに非常に「衝撃に強く」、時速100キロの衝撃を受けても、瞬時に巨大なエネルギーを吸収し散逸させる。穿刺衝撃を受けても、局部が損傷するだけで、形が変わったり、ひびが入ったりすることはなく、セラミック、プラスチック、アルミ合金より明らかに優れている。

 研究者は、新材料の超強性能は独特の複合構造から生まれており、ナノスケール下では一種の三次元ネット構造だが、より大きいミクロンレベルでは一種の「積層」構造をしていることを発見した。

 この成果はこのほど、国際的に権威のある学術雑誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表された。(c)Xinhua News/AFPBB News