【5月20日 AFP】新型コロナウイルスによる中断から、前週末およそ2か月ぶりに再開したサッカーのドイツ・ブンデスリーガだが、同国のスポーツ界からは「ジョーク」「常軌を逸したシステム」といった批判が出ている。

 ブンデスリーガは政府が再開計画を承認したことを受け、欧州主要リーグの先陣を切ってリーグ戦を再開させたが、他のスポーツがいまだに再開の見通しも立たない中で、サッカーだけが始まったことが国内で物議を醸している。

 現世界王者でもあるボート選手のオリバー・ツァイドラー(Oliver Zeidler)は、独スポーツ通信社SIDに対して「まるでジョークだ」と話した。

 ツァイドラーは「子どもを託児所へ預けられず、レストランも全面的な営業再開ができない中で、大金持ちがピッチで間違ったメッセージを発することを許すなんて」と憤り、ファンには「常軌を逸したシステム」や、サッカーが存在する「どんどん浮世離れしていくパラレルワールド」に背を向けてほしいと話した。

 国内の行動制限が緩和されたため、ツァイドラーも「割合と普段通りに」練習できている。しかし今の状況は、ドイツ国内でサッカーが優遇されていることの証明だと感じている。

 2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した陸上男子やり投げのトーマス・レーラー(Thomas Roehler)も同意見だ。レーラーは先月、テレビ局「スポーツ1(Sport1)」で「政治家は全てのスポーツを同列に扱うより、ボールが転がる方を優先しているようだ」と話した。

 一方、2018年の欧州陸上選手権(European Championships in Athletics)の女子100メートルで銀メダルを獲得したジーナ・ルケンケムペル(Gina Lueckenkemper)は、ブンデスリーガ再開は日常が戻ってきた感覚を大半の国民に与えたし、それはサッカーだからできたことだと話している。

 ルケンケムペルは「古代ローマの人間も、どうすれば人を幸せにできるかを分かっていた。必要なのは食べ物と娯楽」とコメント。しかし同時に、ブンデスリーガ再開に対する批判は「正当だし理解できる」とも話した。(c)AFP