【5月16日 AFP】英国で新型コロナウイルスの陽性率が、最も貧しい地域の住民は最も裕福な地域の住民より4倍も高いことが、最新の調査で明らかになった。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された英オックスフォード大学(University of Oxford)の研究は、国が実施した3600件以上の新型コロナ感染の検査結果を調査。貧困、年齢および慢性肝疾患のすべてが、陽性になる可能性を高めることが分かった。

 このサンプルのうち、最も貧しい地域の住民660人以上の陽性率は29.5%だったのに対し、裕福な地域の住民の陽性率は7.7%だった。

 黒人の陽性率は62.1%で、白人の15.5%の4倍以上だった。しかし、サンプルのうち検査を受けた黒人はわずか58人だったことに注意が必要だと研究者らは指摘している。

 この研究は、日常的な検査プログラムの検査結果のみに依存しているため多くの制限があり、サンプルとなった人たちの人口統計学的特性が全体の傾向を反映していない恐れがある。

 それでも、低所得は新型コロナ感染の重要なリスク要因になっているとみられる。

 この研究に関与していない英バーミンガム大学(University of Birmingham)の研究者、レイチェル・ジョーダン(Rachel Jordan)氏は、「特定のリスク要因が何であれ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が既存の社会経済的不平等を悪化させているのは明白だ」と指摘した。(c)AFP/Patrick GALEY