【5月14日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が3月末の記者会見で褒めそやして注目を集め、ホワイトハウス(White House)職員の検査にも使われている新型コロナウイルスの検査システムを調べたところ、全検査数の半数近くが偽陰性となったとする論文を米ニューヨーク大学ランゴーン医療センター(NYU Langone Health)などの研究チームが発表した。

 この検査システムは米アボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)の「ID NOW」。他のシステムなら結果が出るまで45分かかるところ、ID NOWは陽性ならば5分で、陰性ならば13分で結果が出る。

 研究チームによると、鼻から検体を採取した綿棒を保存液に入れて運んだ場合は全検査数の約3分の1が、乾燥した状態で運んだ場合は48%が偽陰性になったという。綿棒を乾燥した状態で運ぶのはアボット社が推奨している方法だ。

 論文は未査読で医学分野のプレプリントサイトに発表された。アボット社はその内容に異議を唱え、検体が正しく採取されたのかどうかが不明だとの見方をAFPに示した。

 同社の広報担当者スコット・ストッフェル(Scott Stoffel)氏は、ID NOWによる検査を180万回以上提供しているが、同社に報告のあった偽陰性率は0.02%で、デトロイト大学(University of Detroit)の研究では同検査の98%が正確だったと述べた。

 ニューヨーク大の研究チームによると、ID NOWの結果が出るまでの迅速さが同大の医療施設、特に医療センターの救急救命部門に役立つと思い、実際に調査することにしたという。

 研究チームは、スイス製薬大手ロシュ(Roche)の検査方法では結果が出るまでに3.5時間、遺伝子検査システムの開発・製造・販売を手掛ける米企業、セフィエド(Cepheid)の方法では45分かかり、両者の信頼性は同程度だとしている。

 これらの検査は、検体に含まれる少量のウイルスの遺伝物質を短時間で複製し、検出可能なレベルにまで増やす手法を取っている。

 ニューヨーク大の研究チームは、今回の調査で「アボット社のID NOWプラットフォームは感度が低く、偽陰性が多いことが分かった」とし、「症状のある患者の診断ツールとしての適合性」に疑念が高まったとしている。(c)AFP