【5月14日 AFP】米ケンタッキー州で今年3月、26歳の救急救命士が自宅アパートで警察官に銃で撃たれて死亡した事件をめぐり、アフリカ系市民に銃を向ける警官への抗議が米国で再び強まっている。

 非武装のアフリカ系米国人が警官から銃で撃たれる事件をめぐっては、人種的偏見に基づいた蛮行だとして多くの人が警察を批判しており、2012年以降「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」のスローガンのもと、何度も抗議行動が発生している。

 3月13日、救急救命士のブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さんとその交際相手が就寝中に警察が踏み込み、テイラーさんに8回発砲した。

 事件について明らかにしたテイラーさんの弁護士、ベン・クランプ(Ben Crump)氏によると、無警告で破壊器具を使用し、ケンタッキー州ルイビル(Louisville)のアパートに突入。しかし警官らが持っていた住所の情報は不正確で、警察が行方を追っていた容疑者はすでに拘束されていたという。

 テイラーさんの交際相手は現在も拘束されている一方、テイラーさんの死をめぐる容疑で訴追された警官はいない。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、警官らは先月、不法行為による死亡、過度の暴力、そして重大な過失で提訴された。

 最近、米南部ジョージア州でジョギングをしていた黒人青年のアマード・アーベリー(Ahmaud Arbery)さん(25)が白人の男2人によって銃殺される事件が発生。警官による殺害ではなかったものの、これをきっかけに米国では白人による黒人への銃撃をめぐり、怒りの声が高まっていた。(c)AFP