【5月2日 AFP】アフリカ西部コートジボワールで影響力を持つ部族王が、精霊のご加護による新型コロナウイルスの退散を願い、女性の裸行列を命じる可能性があると、この王の側近が明らかにした。

 同国南東部を本拠とするサンウィ(Sanwi)の王は先週、自身の臣民300万人を新型ウイルスの大流行から守るため、聖なる介入を求めて悪魔払いの特別な儀式を執り行った。

 同国では、在来の王や地元の族長は大きな権威があり、悪魔払いの儀式には通常、何百人もの参列者が集まる。しかし新型ウイルスの感染拡大に伴い、集会は50人未満とする制限が課せられているため、今回の参列者はごくわずかにとどまった。

 王族が一般の人々に直接語り掛けることはないため、サンウィの王であるアモン・ヌドゥフ5世(Amon N'Douffou V)は自身の伝令係を通じ、「私は神に乞う…臣民を守り、この王国を、コートジボワールを、そして世界からこのウイルスを払いたまわんことを」と語った。

「コミアン(Komian)」と呼ばれる白装束の女性信仰療法師らが、「アボダン(Abodan)」と呼ばれる伝統のリズムにあわせて、王家の庭にアルコールをまいてお清めをすると、参列者は王への服従の証しとして顔に泥を塗り、頭を太陽に向けて上げるしぐさをした。

 このような儀式は、干ばつや洪水といった自然災害を避けるために執り行われる。

「アフリカでは、われわれは2つの世界に暮らしている。目に見える世界と、見えざる世界だ」と語るのは、王に行列を進言をした側近だ。「酒をささげることにより、見えざる世界のご加護を求める力を持っているのは王だけだ」

 側近は、住民を守るために村内を練り歩く「アジャル(Adjalou)」と呼ばれる行列で、「王がその秘密を知っている女性らにアジャルを行うことを命じることができる」と説明。

「アジャルの間、この女性たちは裸になる一方で、われわれは男性や子どもたちが家から出ないように閉じ込めておく。悪霊が入り込んで命を奪うのを防ぐため、女性たちは村々の入り口に結界を築く」 と話した。

 アジャルの開催は、前日に伝令係が村にその旨を発表するまで伏せられるという。

 コートジボワールでは、新型コロナウイルスによる死者が14人、1000件以上の感染症例が確認されている。政府はソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)などの措置を取ってもらうよう、伝統的な支配者らを懐柔している。

 同国では人口の約2割が精霊を信仰し、それぞれ4割を占めるイスラム教徒とキリスト教徒も、精霊信仰に基づく儀式を実践している。(c)AFP/Christophe KOFFI