【4月25日 AFP】太陽光は新型コロナウイルスを急速に不活性化させるのか? 米ホワイトハウス(White House)は、政府機関による謎めいた研究結果を明らかにしてそう主張したものの、一部の科学者は、さらなる証拠が示されるのを待っている状態だとして注意を呼びかけている。

 米国土安全保障省長官の科学技術顧問を務めるウィリアム・ブライアン(William Bryan)氏は23日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のコロナ流行に関する定例会見で、太陽光によって新型コロナウイルスが急速に不活性化することが分かったと発表。この発表には多くの注目が集まった。

 実験は、米メリーランド州にある国立生物兵器分析対策センター(NBACC)で実施。ブライアン氏が記者団に対して示した実験結果をまとめたスライドによると、ステンレス製品などの無孔質の表面上にあるウイルス量の半減期は、気温21~24度、湿度80%の暗所で6時間だったが、太陽光が当たると半減期は2分にまで縮まった。

 また新型ウイルスが空気中に漂う状態になった場合の半減期は、温度21~24度、湿度20%の暗所で1時間だったが、太陽光が当たると1分半にまで減少した。

 太陽光に含まれているが目には見えない紫外線は、ある種の病原体の消毒に非常に効果があることが知られている。世界保健機関(WHO)が発展途上国の人々に、水道水をプラスチックのボトルに入れて太陽の下に5時間置くよう推奨しているのもこのためだ。しかし、すべての病原菌が太陽光で死滅するとは限らない。

 太陽光には波長が違うさまざまな紫外線が含まれている。大まかに見ると、日焼けや肌の老化の原因となる紫外線A波(UVA)、紫外線A波よりエネルギーが強く、肌がやけどのように赤くなったり、がんを引き起こしたりすることもある紫外線B波(UVB)、そして最も危険な紫外線C波(UVC)に分けられる。